【生物】五界説・3ドメイン説のさらに先の生物の分類
今回は生物の分類の歩みについてです。
過去、幾人もの科学者によって提唱されてきた生物の分類。
現在の日本の教科書では五界説と3ドメイン説を採用していますが、最新の研究ではどのようになっているのかです。
なお、本来なら鉱物も生物の分類の一つとして19世紀頃まで考えられていましたが、ここではややこしくなるので、鉱物は扱いません。
二界説
古代ギリシア、アリストテレスの時代には既にこの考え方がありました。
生物を動物と植物に分ける考え方です。
と言ってもこの頃は動物と植物を別個のものとして扱い、それらをまとめて生物という扱いはしなかったようです。
しかし、1665年、フックがコルクの観察から細胞を発見します。
そして分類学の父として名高いリンネは、1735年に『自然の体系』にて二界説を採用します。

1838年には、シュライデンが植物における細胞説を、
1839年には、シュワンが動物における細胞説を提唱します。
この頃には、生物を動物と植物に分ける考え方が間違いなく生まれていたと言えるでしょう。

三界説
しかし、顕微鏡での研究が進むにつれて、二界説では齟齬が生じてきます。
ミドリムシや変形菌(粘菌)は植物と動物のどちらに属するのか。

そこで1860年、ホッグが原始的な生物をPrimigenumにまとめることを提案。
1866年にヘッケルが原生生物界Protistaと名付けたことで、三界説が提唱されます。

二帝説
高性能な顕微鏡の開発など、科学技術の進歩もあり、生物学は進歩していきます。
そして次なる疑問は、細胞構造が他の生物とは明らかに異なる細菌をどう扱うべきか。
そんな中、1925年にシャットンは生物を原核生物と真核生物に分ける考え方を提唱します。
二帝説です。
ドメインという考え方の先駆ともされます。

四界説
1938年、コープランドは界に二帝説を組み込む分類を提唱します。
生物は、原核生物と真核生物の二つに分けられ、
真核生物は更に、植物、原生生物、動物に分けられるというものです。
四界説です。

五界説
1969年、ホイタッカーが新たな分類を提唱します。
真核生物を、
植物=生産者
動物=消費者
菌=分解者
原生生物=その他
に分ける五界説です。

ここでやっと、現代の教科書で扱われている五界説にたどり着きます。
しかし、五界説は最新の分類体系と呼べるものではありません。
では、なぜ使われているのか。
それは、わかりやすいから。
分類はどこまでいっても結局は人のわかりやすさのためにするもの。
科学的正しさよりも、わかりやすさが少なくとも授業レベルでは優先されているのです。
六界説
1977年、ウーズはrRNAの研究に基づく新たな分類を提唱します。
原核生物を真正細菌と古細菌に分けるという六界説です。

3ドメイン説
1990年、ウーズは界ではない新たな分類を提唱します。
すなわち、生物を古細菌、細菌、真核生物に分ける3ドメイン説です。

八界説
1993年、キャバリエ・スミスが新たな分類を提唱します。
それは、雑多な分類群であった原生生物を、
クロミスタ界、アーケゾア界、原生動物界に分ける八界説です。

クロミスタ界は、藻類を始めとする生物。
アーケゾア界は、ミトコンドリアを持たない生物。
原生動物界は、動物的な単細胞由来のもののうち胚分割を行わない生物です。
修正六界説
1998年、キャバリエ・スミスは八界説を修正します。
アーケゾアと原生動物を、原生動物に
真正細菌と古細菌を細菌に分類した修正六界説です。

七界説
2015年、Ruggieroが新たな分類を提唱します。
細菌界をやはり真正細菌界と古細菌界に分ける七界説です。

最新の分類
では、最新の分類は何なのでしょうか。
島野(2017)は、キャバリエ・スミスによる修正六界説。
あるいは、Ruggieroによる七界説が
「真核生物の高次分類は、現在どのような体系に従えばよいのか?」
という答えの一つであるとしています。
しかし、話はこれで終わりません。
現代の生物学にはもう一つ主流となっている分類が存在します。
それは、スーパーグループと呼ばれるものです。
このスーパーグループについては、また別の回で紹介します。
※日本の教科書では、五界説を採用しています。
修正六界説や七界説をテストで書いて不正解となっても、責任は取れません。
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